インフラの町医者

2013年7月 愛亀企業グループ 代表 西山 周

弊社は五年前までは松山城の名前にあやかった金亀建設(きんきけんせつ)と言う社名であり、舗装工事中心の地方建設会社である。設立五十年を期に愛亀(あいき)に社名変更し、同時に建設と言う文字も取り払った。それはけっして建設業をやめるということではなく、建設業も出来る事業会社へ脱皮したいという決意からだった。公共事業激減の中、地域建設会社のDNAを持つ者として、雇用や地域との繋がりを無視するような単純な縮小均衡には経営の舵を切りたくはなかった。

そもそも地方の舗装専門会社だから、技術技能職員の質と量が強みだが、それは安定的な公共事業発注下の場合であり、一旦発注が減少に向かい始めるとその強みが一転して重荷や弱みになる。だからその強みの温存と雇用の安定のため平成十二年に農業生産法人あぐりを設立し、真摯に技を磨いてきた技能職員の三分の一程度を受注の少ない閑期の年度上半期に、地域の農家から受託したほ場50haの稲作に振り向けた。無農薬無化学肥料、精密農業、食品残渣堆肥化有機リサイクル等の新しい取り組みも盛り込んでのキックオフだった。持続可能な最低限の利益はあるとは言え、建設事業の売り上げ利益を補うというには程遠いが、雇用の安定、技能の温存は四苦八苦しながらもなんとか達成している。

愛亀グループ 農商工連携プレー

現在弊社グループは様々な理由で集まってきた会社や新たに立ち上げた事業部等9社13事業部で構成されている。道路、管路、アスコン、産廃、建材、造園、生コン、砕石、熱絶縁、住宅リフォーム、農業等であるが、多角化副業化というよりは、地域内での建設関連事業による連携化・複業化を目指し、それぞれの社や社員が個の能力を向上させ、そして連携すれば身近で多様な地域内インフラの整備には貢献できるとの思いで『インフラの町医者』という言葉を掲げ、野球型からサッカー型への経営転換を目指している。総合病院ではなく、身近な町医者を目指すからには地域内で信用を頂戴しなければ認めてもらえない。技術的なエンジニアというよりも技能的なテクニシャンの要素が強いかもしれない。地域との係わりを深めれば深めるほど、地域内では経済原則至上主義だけでは納得してもらえない。インフラの町医者としてそこにいるだけで安心してもらえるような存在、そして、人知れず黙々とインフラの町医者の使命を果たせるよう真摯な努力を積み重ねて行きたいのである。

企業グループ内“農商工連携・6次化”具体例

※【野球型経営とサッカー型経営】
社長(監督)がすべてに(一球ごとに)指示を出す計画と統制の経営が野球型の経営であるのに対し、サッカー型経営では経営者の理念や戦略の下、いざゲームが始まればフィールド内の管理者層のリーダーシップで儒的な判断や組み立てを行い、全員でネットワークを構築し変化させながら進める。特にサポーター(地域)との一体感も重要となる。

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